2008年2月17日日曜日

外山 恒一

さよならブルーハーツ―パンク日記

2007年春の東京都知事選、「路上演奏家」の肩書きと「福岡刑務所卒」の学歴で立候補した、はっきり言って泡沫候補の外山恒一。しかし、彼の一世一代の政見放送がYouTubeに投稿されて一気に大ブレイク。YouTubeの動画は閲覧世界ランク1位になるわ、政権放送放映日には2ちゃんねる実況板の書き込み速度歴代1位を更新するわ、少なくともネット上では現職都知事や有力候補をものともせぬ人気です。で、彼の本を読んでみたいと思い、本書を入手しました。実に面白い! 92年に尾崎が急死した日から、その年の夏、福岡の市民団体がブルーハーツをプロモートしたコンサートに「爆砕」をかけた顛末までの日記。毎日がパンク(ちんぴら)で、革命家(マジだし思想的にも体力ある)で、青春(かなり恥ずかしい!)の日記です。「運動に実効性を求めると運動が変質してしまう。実効性ではなく一瞬の高揚こそ求めたい」といった記述があるのですが、これは今回の都知事選出馬にも通じるし、何よりピストルズやブルーハーツ、その他もろもろのロックの系譜にもきちんと連なっていると思いますよ。本書の核心部分「ブルーハーツコンサート爆砕計画」は、彼の公式サイト(外山恒一で検索)でも読めます。実に面白い一件ですが、それだけじゃない。親不孝通りで街頭ライブする毎日の描写が非常に楽しい。なにしろ、さだまさしと中島みゆきばかり聴いてた彼はパンクになって日が浅いので、毎日なにがしかCD買って勉強するのです。ボブディランとかEL&Pとかドアーズとかニューエストモデル(懐かし!)。素敵です。「マカロニほうれん荘」みたいな雰囲気。そういえば鴨川つばめも九州人だったなあ。見かけたらゲットして損はなし!

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