2008年2月16日土曜日

東急 ハンズ

「シブヤ系」経済学―この街からベンチャービジネスが生まれる理由

 1956年・1968年世田谷区生まれの二人のフリーのキャスター(トレンド研究会所属)が、現在の渋谷とシブヤ系経済(従来の大企業中心の大手町系経済と対照的に)を日本経済の象徴と見て、1999年に刊行した240頁程の本(執筆分担は7頁)。戦前に玉電の乗り換えターミナルとして東横百貨店(東急)と共に歩んできた渋谷は、1964年の東京オリンピックと共にその後の発展の糸口をつかんだ。1973年以来区役所(公園)通りに都市型ファッション専門店西武パルコが進出し、その周辺をヤング層(団塊世代、大学生・新社会人)の街に変えると、東急側もより広い顧客層を念頭に、東急ハンズ・SHIBUYA109・Bunkamura等を建設し、文化村通りを東急の街に変えた。渋谷はこの二大勢力がしのぎを削る中で発展したのである。しかし渋谷の低年齢化は大人の渋谷離れを招き、二大勢力もその流れを止められなくなった。また1970年代以来のモータリゼーションによる郊外型ショッピングセンターの展開、1990年代の渋谷の通過駅化による郊外や横浜との競合の激化、バブル崩壊の中で、渋谷駅南口−代官山−恵比寿の再開発が進められ、既成秩序を打破するベンチャー企業も次々と生まれている。著者達はこれらのベンチャー企業の事例を紹介しつつ、それによって日本経済の未来を展望しようとする。特に渋谷の戦後史が私には興味深いが、もう少し全体の構成を工夫した方が良いように感じる。またシブヤ系経済学の定義もいまいち分かりにくい。

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